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心機一転、亀岡へ支えてくれたのは人とのつながり、懐深い環境
新規就農希望者を支援する「担い手養成実践農場整備支援事業」で2年間の研修を終え、平成26年の3月、第1号修了者として独り立ちした福島さんにお話を伺いました。
福島 裕重(ふくしま・ひろしげ)
かつては京都市左京区で土木建設業に従事。自分ひとりでコツコツと積み上げられる仕事として平成23年に農業へ転身。現在は市内曽我部町のパイプハウスを拠点にトマトなどの栽培に取り組んでいます。
就農の動機・きっかけ
候補の一つが農業だったのです。しかし、イメージだけで何の知識もありませんでしたから、まず体験してみようと思い、京北町の農業法人に飛び込みました。お給料をもらいながら米づくりを手伝い、仕事を通じていろいろと教わりました。やってみると、これがなかなか面白い。努力すれば独り立ちできるのではという気持ちが芽生えてきたのです。
亀岡で農業を始めた理由
まず農地探しですが、当初はその方法すらわかりませんでした。京都中北部の市役所を訪ねても、交渉はご自身でやってほしいといわれました。農業法人の後輩が、その頃すでに亀岡で農地を取得し独立していたので、尋ねてみることにしました。いろんな支援制度もあるから、ここなら大丈夫だろうと背中を押してくれたのです。
新規就農への支援制度
先輩の応援もあり、まず、吉川町に農地を借りることができました。するとその2ヵ月後に、「担い手養成実践農場整備支援事業」の研修生として採択いただき、この農場(曽我部町内・50アール)を借りることができたのです。農業人の育成を目的とした亀岡市の取り組みのひとつで、期間中は農地の確保や研修費用を市が負担してくれるというものです。まさに渡りに船でした。
研修期間について
こちらではもともとあったハウスを生かし、いろんなものに挑戦しました。たとえば、メロンを地這いで育てたときは、蔓(つる)があちこちに伸びたり虫がわいたりで収拾がつかなくなるなど、いろいろと失敗も重ねましたね。
そんな毎日でしたが、研修指導の先生が根気強く教えてくださったおかげで、努力したことが少しずつ成果に結びつくようになってきました。
地域との関わりについて
先生には野菜の栽培技術だけではなく、地域との関わり方も学ばせてもらいました。たとえば鳥獣対策用の防除ネット設置作業などにも参加しています。これからも時間があるときは関わっていきたいと考えています。やはり、人との出会い、そこから広がるつながりから得られたものは大きいですね。
トマトをつくり始めて1年になりますが、農家の皆さんで組織されている直売部会に毎朝商品を預けると、市内のスーパーなどに配達してもらえます。売れた分の手数料を支払うだけなので、運送のコスト負担や手間もありません。新鮮な野菜を低価格で召し上がっていただけるという仕組みです。小規模の農家にとっては非常にありがたいことです。
福島さんの収穫したトマト
これからの課題
トマトにしても、これだけの環境があればもっと収穫できるし、もっとおいしくなるはずなんです。トマトのシーズンが終わったらブロッコリーや白菜、大根といった需要の高い野菜を手がけていくつもりですが、やはり勉強次第ですね。
最近、先輩方からも褒められるようになり、自信も少しついてきました。今後は、皆さんにさらに喜んでもらえる野菜をつくっていきたいと考えています。
農業を始めようと考えている方へ
農業は厳しさもある反面、自分で頑張った分だけ収穫や収入に跳ね返ってきますし、より良いものを作ろうとこだわればこだわるほど、奥の深さを感じることもできます。
私もまだ勉強中の身ですが、本気で取り組めばきちんと応えてくれる仕事だと確信しています。もちろん、簡単ではありませんが、それを支えてくれる人のつながりや環境がこの亀岡にはあるのではないでしょうか。
メッセージを熱く語る福島さん