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農業の未来を研究中!OICKのスマートアグリハウスで育つ野菜の秘密
「農業を、誰もが挑戦できるスマートな産業へ」

市では、京都先端科学大学および亀岡商工会議所と連携した「オープンイノベーションセンター・亀岡(以下、OICK)」において、最新のスマート農業技術を用いた野菜研究を推進しています。
京都先端科学大学の京都亀岡キャンパス内にあるスマートアグリハウス(SAH)では、コンピューターによる複合環境制御技術と農業を組み合わせた、これまでにない野菜づくりの研究が進んでいます。「農業って大変そう……」そんなイメージを覆す取り組みを紹介します。
▼最新技術で野菜を栽培するスマートアグリハウスの外観

1.コンピューターが野菜を育てる!?
OICKのスマートアグリハウスでは、野菜にとって最も心地よい環境をコンピューターが24時間体制で作っています。
- 自動で温度・肥料を管理: 温度や肥料の量、さらには光合成に必要な二酸化炭素の濃度まで、コンピューターが自動で制御しています。
- プロの技を再現: 本来はベテラン農家の「経験と勘」が必要だった窓の開け閉めや水やりも、コンピューターが代行。だからこそ、農業の経験が浅い人でも、安定しておいしい野菜を育てることが可能になります。
- 天気が悪くても大丈夫: 霧や曇りで日光が足りない時は、LEDライトが自動で点灯して野菜の成長を助けます。
▼ハウス内に並ぶ環境制御装置やモニター

2. 「土」を使わないクリーンな栽培方法
土の代わりに栄養を溶かした水(培養液)を使う「養液栽培(水耕栽培)」を採用しています。
- 点滴でお食事: トマトなどの実がなる野菜には、チューブを使って一滴ずつ栄養を与えます(ロックウール方式)。
- 水の膜で育てる: レタスなどの葉物野菜は、薄い水の膜が流れる上ですくすくと育ちます(NFT方式)。
- 汚れず、効率的: 土を使わないため泥だらけになる心配がなく、農作業のイメージがとてもクリーンに変わります。
▼土のないハウス内

3. 空高く伸びる!?驚きの栽培風景
通常のハウスと大きく異なるのは、その天井の高さです。
- 高さ4メートルの開放感: オランダ式の高い天井を活かし、野菜を高く伸ばして栽培します。
- 10メートル超えの茎: トマトの茎を紐で吊るし、収穫に合わせて少しずつ下へずらしていくことで、なんと10メートル以上の長さにわたって収穫を続けることができます。
▼高さ4メートルのハウス
4. 体にやさしく、おいしい理由
最新技術は、野菜の「安心・安全」にもつながっています。
- 農薬を賢く使う: 電気の力(静電散布)を使って、葉の裏側まで効率よく農薬を届ける技術を研究しています。これにより、少ない農薬でしっかりと野菜を守ることができます。
- そのまま食べられる柔らかさ: 徹底した管理で育った小松菜などの葉物野菜は、驚くほど柔らかく、生でもおいしく食べられます。実際に京都市内のホテルのシェフにも来ていただき、「お年寄りの方でもサラダで楽しめる」と好評をいただきました。
▼葉菜棟の様子:葉物野菜は基本的に無農薬で育てています

5. なぜ亀岡でこの研究をしているの?
この研究の大きな目的は、「農業の未来を守ること」です。
- 担い手不足の解消: 重労働を減らし、休みも取りやすくすることで、若い世代が「やってみたい!」と思える新しい農業を目指しています。
- 地域の資源を活用: 将来的には、地域の木質ペレットや温泉の熱などをハウスの暖房に使う、環境にやさしい仕組みも視野に入れています。
日本の農業は担い手の高齢化が深刻です。亀岡市はこれを「先端技術による産業アップデート」をしていくタイミングであると考えています。OICKは、農業を「きつい・汚い・休めない」から「クリエイティブでスマート」な産業への転換を研究しています。
その味をぜひ体感してみてください
「農業×最新技術」が作り出すOICK産のかめおかせんたん野菜。直売所で見かけたら、ぜひその「未来の味」を確かめてみてください!
- 品目: OICKのスマートアグリハウスで栽培した、農薬を最小限に抑えた高品質な葉菜類・果菜類
- 販売場所: 亀岡市内(直売所「佐伯の里」)→詳しくみる

▲過去のかめおかせんたん野菜(パプリカ)販売の様子
【専門家の視点:京都先端科学大学 教授コメント】
バイオ環境学部 生物環境科学科 佐藤 隆徳(さとう たかのり)特任教授
私たちが取り組むスマートアグリは、野菜生産を『経験と勘』の世界から、データに基づく『科学的な産業』へと進化させる挑戦です。OICKのスマートアグリハウスでは、コンピューターによる総合環境制御によって野菜の生育に最適な環境を24時間提供し、重労働や泥汚れのないクリーンで環境に優しい農業を実証しています。これにより、深刻な後継者不足という課題に対し、『若者が憧れる持続可能な農業』という一つの解を提示できると考えています。研究成果を学会で発表するだけでなく、地域の農家や市民の皆様へ還元し、亀岡の農業を世界水準へ引き上げることが私たちの使命です。



