本文
第141回 肝炎を起こすウイルスについて
内科部長 岡田 頼久
専門分野 肝臓病学、消化器病学
今回は肝炎を起こすウイルスを紹介します。
1)A型肝炎
食物、水から感染します。不潔な飲み水や牡蠣などの貝の生食は要注意で、海外旅行では事前にワクチン接種が望ましいです。
2)B型肝炎
血液、体液を介して感染します。血液製剤、不潔な注射針の使用、性行為、出産などが原因となります。日本では出産時に感染する母子感染が多かったですが、ワクチンの普及により減少しました。最近は性行為による感染が増えています。
3)C型肝炎
血液を介して感染します。多くは血液製剤や注射針による感染でしたが、現在は輸血による感染は殆どありません。70%が慢性化しますが、治療薬の進歩により完治がほぼ可能となりました。
4)E型肝炎
食物を介して感染します。野生の猪、鹿の他、豚(特に肝)にも感染が確認されています。
5)EBウイルス、サイトメガロウイルス
唾液を介して感染します。多くは若年成人で咽頭痛、発熱などが見られます。
肝臓は「沈黙の臓器」であり、肝炎と気づかずに風邪として様子を見るうちに自然に軽快している場合もあります。多くは急性肝炎で治癒しますが、慢性化や時に劇症化すれば命にも関わります。予防できるものが多いですので、ご注意ください。