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第161回 人工関節について
整形外科部長兼診療技術部長 久保 恭臣
専門分野 関節外科
人工関節手術は、傷んだ軟骨の機能を人工物によって補う手術です。健康な関節は、痛みなく体重を支え、滑らかに動くことで、歩行など、生活に必要な動作を可能にします。この機能に最も大きな役割を果たしているのが関節の表面を被っている関節軟骨で、加齢による変化などで傷んでしまうと運動、動作時に痛みを生じるようになります。関節軟骨はいったん傷ついてしまうと完全な修復はされないため、加齢とともに変形が進行していくことになります。
人工関節は金属、特殊なポリエチレン樹脂、セラミックなどからできていて、傷んだ軟骨の機能の代わりをします。体重を支える大きな関節の股関節と膝関節の手術がよく行われています。人工関節の改良や手術手技の進歩などにより耐用年数が長くなり中高年の方への適応が広がり、麻酔の進歩もあり高齢の方への適応が拡大されてきました。
関節の変形、痛みを改善する最終手段の人工関節手術、広く行われている手術ではありますが、ひとりひとりの関節の状態により適応を決める必要があります。整形外科に受診してご相談していただければと思います。