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第159回 胆石について
内科部長 兼 患者支援室長 岡田頼久
専門分野 肝臓病学、消化器病学
食後にみぞおちの右側に差し込むような痛みを感じる事はないでしょうか。それは胆石の発作かもしれません。
胆石とは肝臓から分泌される胆汁が石のように固まったものです。胆汁は肝臓から胆管を通じて十二指腸に流れますが、途中にある胆のうという袋の中で濃縮され、食事の通過に合わせて放出されます。この濃縮過程でコレステロールなどの結晶が生じ胆石となります。胆のう内にあるうちは無症状ですが、胆汁の流れとともに移動し、途中の狭い部分に詰まってしまうことで痛みが生じるのです。
多くは一時的な症状で自然に軽快しますが、はまり込んで胆汁の流れをせき止めてしまうと、胆汁に細菌が感染し胆のう炎や胆管炎に至ります。この場合は敗血症などから致命的になる可能性もあるため、外科での手術や内視鏡による除石など、早急な処置が必要となります。このような重篤な症状は年間1~3%程度といわれています。
健診などで指摘されることも多いですが、約90%は無症状で推移するといわれており、すぐに治療する必要はありません。一度消化器科受診をご検討ください。