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第147回 マムシ咬傷について
外科部長 井村 健一郎
専門分野 消化器一般外科、腹腔鏡外科
最近2例続けてマムシ咬傷を経験しました。1例は家の庭、もう1例はお墓で、どちらも身近で起こっています。対応を誤ると命に係わるので紹介いたします。マムシの頭は三角、体長45~60センチ、背中に銭形の斑紋があります。上顎先端の2本の毒牙から毒を注入します。複数の毒が含まれており痛み、腫れから始まり、悪心、嘔吐、動悸、血圧低下、出血傾向、腎不全、複視などさまざまな症状が現れます。年間2000~3000例の報告があり致死率は0・1%程度です。腫れはハチなどと比べ高度で経時的に体の中枢側へ進みそれで重症度を判定します。基本的には入院となり、重症度によって抗マムシ血清、抗生物質、ステロイド薬などを用い対応します。大事なことは迅速に病院へ来ていただく事ですが、来院までに行う事で症状悪化を緩和する処置があります。(1)洗浄、排毒:流水で洗い流しながら絞り出す。毒の量を減らし症状悪化を防ぎ、かつ感染予防になります。(2)駆血:咬まれた部位の中枢側を緊縛し毒の広がりを抑えます。これらを行いつつ来院されれば重症化を抑えられる可能性が高まりますので覚えていただけると幸いです。