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学校だより 令和6年6月号
~俯瞰して、大局を大切に !!~
本年度がスタートして、はや2ヶ月が経過しました。生徒たちは、新しい学年や学級での生活にも慣れ、勉強や部活動、行事などにみんなで取り組んでいるところです。
4月下旬に行われた亀岡市春季大会では、団体競技全ての部活動が3位入賞(優勝6部活,準優勝2部活、3位1部活)を果たし、吹奏楽部は参加者約6000人の「ブラスエキスポ2024」において、3校だけに送られる「さわやか賞」を受賞するなど、多くの部活が表彰状や盾を持って帰ってきてくれました。結果もさることながら、仲間を懸命に応援する姿や激励で会った生徒たちが気持ちよい挨拶をしてくれることに感動し、日頃のご家庭と先生方の指導の賜と心から感謝する大会となりました。
また、5月中旬には1・2年生は校外学習、3年生は修学旅行を、それぞれ大きな怪我や事故もなく無事実施できたこと、本当に嬉しく思っております。ありがとうございます。
そんな生徒たちの様子を見ようと、教室の中を見ながらホールを歩いていた時のことです。掲示板に理化学研究所が企画した文部科学省作成の「一家に1枚 世界とつながる"数理"」のポスターが貼ってありました。そのポスターに「量子コンピュータ」の文字を見つけました。以前から、従来型のコンピュータ(古典コンピュータと呼ぶそうです)では解くことが困難な問題を現実的な時間内に解ける可能性があるということは、何となく知っていました。ただ、どういう仕組みなのかが知りたくて、解説を何度となく読むのですが、よく分かりません。そこには、「全てを順に調べると膨大な回数を必要とする問題も、量子の『重ね合わせ』によって全体をひとまとめにして、計算することで大幅に少ない回数で答えを見つけることができます。」と記されていました。
その話を読んだ時、自分が中学校時代に、勉強のよくできるとても仲の良い友人に「どうしたらテストで良い点がとれるの。」と尋ねたことを思い出しました。友人は、「大筋をしっかりと理解するねん。細かいことより、全体をつかむねん。」と教えてくれました。ところが、相変わらずテスト直前に「○○年○○事件」といった一問一答ばかりをしていた僕は、「だからあかんねん。」と友人に諭されたのです。
また最近、「卵110円、千円以上お買い上げの方のみ」の表示を見て、卵を買い物かごに入れながら、千円以上になるよう買う物を探す自分がいました。本来、この場合の卵は「集客商品」で「フロントエンド商品」と呼ばれるそうです。買ってもらいやすい集客商品を一度買ってもらうことで価値を感じさせ、その後に「バックエンド商品」と呼ばれる利幅の大きい本命商品を紹介し、買ってもらうというマーケティング手法が本来のねらいなのです。わかりやすい例としては、居酒屋のランチがフロントエンド商品で、夜の飲み会はバックエンド商品、という関係です。特にWebマーケティングでは、フロントエンド商品の購入の際に顧客情報が得られるため、バックエンド商品の告知がしやすいことから、特に重要視されているようです。
僕は、そんなマーケティングのねらいも分からず、一部の安さに惑わされ、さほど必要でも無く、お買い得でもないものを購入していました。目の前の小さな物事だけを見て、大きな流れを見ることができない、中学校時代から成長できていない自分を自覚しました。「木を見て、森を見ず。」ということわざそのものです。
その反義語には、「広く物事を見て本質を見抜くこと」という意味の「着眼大局」や「物事を極めた人は広く全体を見て判断すること」という意味の「達人大観」というものがあります。
生徒たちには、文化祭などの取組や部活の大会などで、小さな失敗やミスを気にしすぎて、達成感を感じられなかったり、次のステージへ進出できないことにならないようにして欲しいと思います。そのためには、「物事の細かい部分にこだわり過ぎず、物事の本質や全体像を見ることの大切さ」を教え、鳥のように上から俯瞰する力を身につけさせ、大局を大切にすることを伝えたいと感じています。
保護者の皆様、地域の皆様、心が大きく揺れる思春期まっただ中の生徒たちのご支援とご理解ご協力を、今まで同様よろしくお願い申し上げます。
校長 川口 研一