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卒業式 校長式辞

2024年3月13日更新 印刷ページ表示

 寒さも和らぎ、うららかな春の香りを感じさせる今日。ご来賓として亀岡市教育委員会教育委員 出藏 裕子(でぐら ひろこ) 様をはじめ、ご来賓の皆様、そして多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、令和五年度 第三十八回卒業証書授与式が挙行できますことを、心から感謝し、厚くお礼申し上げます。

 さて、165名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、本日をもって、九年間の義務教育の課程を終えることとなります。皆さんが健康にこの日を迎えられたことを、大変嬉しく思います。

 皆さんが入学した3年前は、前年に発生した新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本においても感染の波を繰り返しながら拡大しているときでした。中学校生活への大きな期待を胸に入学してきた皆さんも、感染防止のため、「新しい生活様式」という言葉のもと、初めて出会うクラスメートとの会話や授業もマスク越し、楽しいお弁当の時間は黙食、部活動や合唱、グループ協議など多くの制限がありました。

 2学期の校長面接で、中学校生活の一番の思い出に、修学旅行を挙げる人が例年以上に多数いました。そして、思い出の場面を尋ねると「部屋で友だちと過ごした時間」「班の人と一緒に食べた食事の時間」など何気ない時間を挙げる人がほとんどでした。体育祭や文化祭の思い出にも「みんなで作り上げたこと」「みんなで応援したこと」を挙げる人が多数いました。皆さんが、送る会や今日歌う『群青』の歌詞にもあるように、「当たり前」がいかに幸せであるかを、「当たり前」ではない日々を過ごしてきた皆さんから、教えてもらいました。。

 また、先日の3月6日、公立高校中期選抜試験の前日指導の時のことです。学年主任の松岡先生から「自主勉パーフェクト運動で、今日、三年間で三回目の学年パーフェクトを達成しました。」と、45人の受験生に嬉しそうに、そして誇らしげに伝えられました。公立前期と私立高校に合格を決めた人たちから、最後の最後まで頑張っている中期選抜の仲間に対する、最大の応援メッセージだと感激しました。「受験は団体戦」と言いますが、学年みんなが意識して実践することの難しさと大切さ、また「凡事徹底」の重要性を改めて感じた出来事でした。

 そこで問題です。「当たり前」の反対語は何だと思いますか。「当たり前」は「いつでも有る。」こと。「当たり前でないこと」は、「有ることが難しい」と書き、「有難し(ありがたし)」という言葉になります。常に起こり得ることを「あたりまえ」と言い、その反対のめったにないことは「ありがたし」。この「ありがたし」は「有難う」の語源です。つまり「有難う(ありがとう)」が「当たり前」の反義語なのです。皆さんは、このコロナ禍において、休み時間、部活動、毎日作っていただいたお弁当、友だちとの語らいなど「当たり前」の出来事に感謝の気持ちを持てるようになったのではないでしょうか。そんな皆さんなら、「今日の当たり前」を支え「明日の当たり前」をリードする人、何気ない暮らしを、不断の努力とリーダーシップで支え続ける人物になってくれると確信しています。  

 本来なら1年生の5月に実施する校外学習が、非常事態宣言発出のため、ドッチボール大会と大縄跳び大会になったことを覚えていますか。その年の秋、非常事態宣言が解除された時、学年の先生方が、「小学校で修学旅行に行けなかった学年だからこそ、なんとか校外学習を実現させてあげたい」と強く要望され、天橋立へ出発したことが思い出されます。学年の先生方の君たちを思う熱意とともに、コロナ禍においてバスで移動し、昼食を共にすることを許していただいた保護者の皆様に、心から感謝しています。

 皆さんが今日手にした卒業証書には、とても大切なことがいくつか書かれています。まずはじめに、皆さんの生年月日です。15年前、ご両親は皆さんの誕生を心待ちにされ、今まで無償の愛情で育ててくださいました。二つ目は、皆さんの名前です。名前を付けてくださった方の、様々な思いが込められているはずです。困難に直面した時、どうすれば良いかという知恵も、込められていると思います。そして最後に「中学校の課程を終えたことを証する」という言葉です。義務教育を修了するまでに、多くのことを学んできた皆さんは、多くの人たちに支えられ、共に歩んできたはずです。この卒業式が終わったら、「当たり前」を築き、今まで育ててくださった保護者の皆さん、おうちの方々に感謝の気持ちをぜひ伝えてください。  

 ところで皆さんは、「シンギュラリティ」という言葉を知っていますか。「シンギュラリティ」とは、「人工知能が人間の知能と融合する時点」と定義され、「人間の脳と同じレベルのAI(人工知能)が誕生する時点」を意味するそうです。その到達を、11年後の2045年と予想している発明家もいます。

 シンギュラリティの時代に求められるのは、「知識」と「知恵」の違いを理解すること、そして「人を引きつける力」と「人を動かす力」だと言われています。知識とは「あることについて知っている」こと、知恵は「知識を使って新しいものを創造できる」ことです。知識を習得するのみでは、このシンギュラリティの時代を生き抜くことはできません。広範囲な知識を土台にし、他者とチームを組んで、コミュニケーションをとって、複雑な問題を解決する知恵が必要です。

 佐賀藩の藩祖 鍋島直茂(なべしま なおしげ)は、家来の心を掴むことに定評がありました。そのノウハウを伝える言葉に「勝ち戦のときには褒美をたくさん与えるのが良い。しかし、負け戦のときは褒美を与えるよりもやさしい言葉を掛ける方が効果がある。」というものがあります。人の心を動かす、という意味でなるほどと思わされます。これが、AI(人工知能)であればどうでしょうか。負け戦の際には、敗因が何か、どこに誰に責任があるのかを科学的に分析し、次回の作戦を立てるのでしょうか。負け戦で疲れ、傷ついている心をいたわることなく、既存の知識を活用するのでしょうか。そこには、知識はあっても知恵は無いように思います。そして、そのやり方に人がついてくるとは思えません。

 今日、義務教育を終える皆さんには、到来するシンギュラリティの時代を生き抜くために、確かな「知識」と「知恵」を、そして「人を引きつける力」「人を動かす力」を、身につけて欲しいと強く願っています。そして、その根底に「ありがとう」と周りの人に感謝する気持ちを忘れないでください。

 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。長くも、そしてあっという間にも感じられる、義務教育の九年間だったことと思います。とりわけコロナ禍での中学校三年間、様々な面で学校教育にご理解、ご協力を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。今後は、地域の良き理解者として、本校の教育活動にさらなるご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

 それでは、卒業生の皆さん。明日からの前途に幸多かれと祈りつつ、悔いのない確かな一歩を踏み出してくれることを願い、式辞と致します。

 

令和六年三月十三日

詳徳中学校 校長 川口研一


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