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学校だより 10月号
「目標を明らかに。挑戦を大切に。」
9月20日(水曜日)21日(木曜日)に開催しました文化祭は、全校生徒の力を結集し、まさに「文化の祭典」の二日間でした。美術部・学習文化部・教科による作品展示、1・2年生の合唱、3年生の演劇、フィナーレには中庭での吹奏楽部の演奏と全校合唱によって、全校生徒と先生方のみんなが一つになれる、素晴らしい文化祭となりました。また、9月初旬から開催された、3年生引退後の新チームで行う亀岡市新人大会では、団体で出場した9部活中、6つの部活が優勝、2つの部活が準優勝という素晴らしい結果となりました。
以上の成果の背景には、卒業生を含めての本校生徒の切磋琢磨する学校風土が基盤にあり、学校教育を支えてくださる保護者や地域の方々のおかげと感謝申し上げます。
さて、学校だより7月号に「東京―大阪間の高速道路の、無人運転の大型トラックによる物流事業を、2026年度にも始める計画がある。早ければ26年度から、関東~関西の全区間で保安要員が同乗して走行を始め、30年度以降には保安要員が不要な『無人走行』ができるようになる。」と記載しましたが、二学期に入りさらに驚きのニュースを目にしました。それは、「今年の8月10日に、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコでアルファベット社(グーグルの親会社)とゼネラルモーターズ社に対し、電気自動車をベースとしてロボットタクシーの24時間の運行が解禁され、実際に営業がスタートしている。」というものです。営業開始後、タクシーが交差点で消防車に道を譲らないことが原因で緊急出動中の消防車と衝突したり、乾いていないコンクリートに入って工事現場で立ち往生したりするなどの問題点もあるようですが、それでも運行する台数を制限しながら、24時間いつでも、完全無人の自動運転タクシーを呼べる時代を目指しているそうです。労働条件を改善しながら、住民サービスを向上させるという相反することを求めるためには、許容できる程度のリスクをとりながらも、果敢に挑戦する姿勢が大切なのだと感じました。
そんな中、気になる言葉も目にしました。子どもの成長を阻むデンマーク発祥の「カーリングペアレント」という言葉です。スポーツのカーリングでは、氷の上の“ストーン”ができるだけスムーズに進むように、ブラシで道をならします。これに例えて、子どもが進む道をならしてしまう親のことを、こう呼ぶそうです。そのまま進んだら立ち往生するであろう困難や失敗、イヤな思いをぬぐうべく、「親が先回りして、スムーズで通りやすい道を整えておく。」というのが由来だそうです。アメリカでも、自分の子が傷ついたり、困難にぶつかったりすることを嫌い、失敗から守ろうとするあまり子どもにつきまとい続ける「ヘリコプターペアレント」という言葉があるそうです。
困難や失敗を乗り越え、挑戦することが大切な事は理解していても、リスクをとることは難しいものです。その理由が、動物の本能に由来しているのだと以前読んだ本に記されていました。 その本によると、動物の脳は「生存すること」を最重要視するため、生存を脅かす変化を嫌うのだといいます。だから本能的に、挑戦(チャレンジ)に対して不安を抱かせたり、できない理由を探させたりするのです。このような変化を嫌う脳に対しては、将来の夢やなりたい自分、そして実現したい映像を明確にすることが必要なのだそうです。そして、日々、許容できる程度の危険(リスク)を取りながら、挑戦することを続けることが大切だと記されていました。
例えば、バスケットボールの試合で強豪チームを相手にゲーム終了3秒前に2点差で負けているとします。そのとき、ゴールする確率は低いけれどスリーポイントシュートを打ってみる。野球なら、好投手相手にヒットが出ずに攻めあぐねている時に、塁に出た走者が思い切って盗塁を試みるなど、リスクを背負いながらも挑戦することが大切なのです。そして、危険を冒してでも挑戦するに値する目標を明確に持っていることこそが、挑戦するための原動力となるのです。
生徒の皆さんには、2学期の始業式にお話しした、「自分にとって楽しいことは何か。」「どのような将来が自分にとって楽しいと感じられるのか。」を考えながら、是非自分の目指す将来像や実現したいことを明らかにして欲しいと思います。そして、その目標に向かって、少々のリスクをとりながらでも、挑戦をし続けて欲しいと思うのです。
校長 川口 研一