本文
学校だより 9月号
「知る<好き<楽しむ」
8月29日(火曜日)に始業式を迎え、2学期をスタートいたしました。508人の生徒が、本日を無事に迎えることができ、うれしく思います。
夏休みに入ってすぐ口丹波各種大会・コンクールが開催され、それぞれの部活動において、一生懸命に競技・演奏に取り組み、活躍する姿をたくさん見ることができました。口丹大会では、3つの部が優勝し、府大会へコマを進めました。さらに、吹奏楽部は府コンクールにおいて金賞を受賞、野球部は府大会で優勝し、近畿大会出場を果たすことができました。個人でも、体操競技で藪 琉敏君が、水泳競技では金谷春弥君、河原志侑君が、陸上競技では寸田蓮人君、野瀬大翼君、リレーチームが近畿大会に出場し、野瀬君が6位入賞することができました。また、陸上競技で寸田君が、バレーボールで竹原伶音君と大田華央さんが、全国大会に出場し、水泳競技でジュニアオリンピックに出場した河原君が2位入賞を果たしてくれました。詳細の成績は、裏面をご覧ください。
ところで、私は口丹大会の朝、学校に集合する各部の生徒たちに、激励の声を掛けるようにしています。いつものように、口丹野球大会決勝戦の朝、生徒への激励をし、ミーティング後、顧問の先生に「今日は楽しみやね。頑張ってな。」と声を掛けました。すると、思いがけない言葉が返ってきたのです。それは「校長先生。実は僕、今日は寂しいんです。もし負けて、今日がこのチームの子どもたちとお別れの日になるかと思うと、寂しくて・・・」というものでした。とても濃密で楽しく貴重な3年間だったのだろうなぁと思うと共に、学生時代に習った論語の次の言葉が思い出されました。
「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず。」です。
口語訳をすると「物事を理解し知っている者は、それを好んでいる人にはおよばない。物事を好んでいる人は、それを心から楽しんでいる者にはおよばないのだよ。」「知るよりは、好きが上。好きより、楽しんでいる方が上。(知る < 好き < 楽しむ )」ということでしょうか。始業式に、生徒たちに上記の出来事を伝えつつ、次の話をしました。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、「気持ちが伴えば上達しやすい。」「好きなものは、上達が速い。」ということは、当たり前に想像できます。では『好き』と『楽しい』との違いは何だと思いますか。
「好き=心が惹かれる状態のこと。見たり聞いたり触ったり食べたり飲んだりする時に、心が反応するもの。その物事に触れた時に、なんとなく心が惹かれるもの。」と思うのです。それに対して「楽」という漢字のそもそもの語源は「楽」=「楽器を演奏すること」の意味合いだそうです。つまり、『好き』は、心が惹かれる、精神的な意味合いを指している言葉であるのに対し、『楽』は「演奏する」という行動を指し示す言葉といえるのです。『好き』は、眺めていたり聞いていたり。例えば、テレビの向こうで写されている映像を見て、心惹かれている状態のこと。『楽しい』は、実際に自分が食べたり飲んだり、やってみる。体験してみる瞬間の行動の時に感じているものです。音楽であれば、外国語の歌を聞いて、「いい感じ。」と思うことが『好き』で、実際に英語の歌詞を覚えて英語で歌うことが『楽しい』となるのでしょう。
これを、勉強やスポーツでいうと「どうやったら学力が上がるかな。上手くなるかな。」と考えることも必要ですが、それ以上に「どうやったら楽しくなるかな。」と自分に問いかけてみて、楽しく思える様な方法を探ることが大切なのではないでしょうか。
2学期には、体育祭や文化祭などの行事があります。どのような場面においても、勝ち負けや成果にこだわる以上に、如何に楽しめるかを考えて欲しいと思います。また、1・2年生は自分の進路に向けて、3年生は具体的に進路先を決定する大切な学期でもあります。自分が楽しめる人生はどんな将来か、自分が楽しく生活できるのはどの進路先なのかなど、是非、「どうすれば楽しくなるか。」を考えて、学校生活を過ごして欲しいと思います。
保護者の皆様、地域の皆様、心が大きく揺れる思春期まっただ中の生徒たちのサポートとともに、今学期も本校教育活動へのご理解とご協力、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
校長 川口研一