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第144回 マスクって効果ある?
小児科部長 寺町 紳二
専門分野 小児循環器
誰かから病気を移されることを防ぐには、普通のマスクでは効果がないという人がいます。マスクの繊維の隙間に比べて、流行る風邪の原因のほとんどと言われるウイルスの直径の方が小さいからというのがその理由です。移す側からだと、口から出てすぐのウイルスは唾に包まれた大きな粒なのでマスクに引っかかります。ところが、移される側に届く頃には、水分が少なくなって小さくなったウイルスの粒はマスクの繊維の隙間を通ってしまうと言うのです。でも、細かく揺れながらまっすぐに進むウイルスの粒は、何重にもなっていて同じ位置に隙間がそろっていないマスクの繊維を器用に左右に避けることはできません。そして、静電気の作用もあり、少しでも繊維に触れるとくっついてしまいます。だから、ウイルス全部を止めることはできなくても口や鼻まで届く量をかなり減らせます。ウイルスの量がある程度多くないと病気にはならないので、移されないことを目的としたマスクにも、効果は期待できます。ただし、しっかりと洗えていない手で口や鼻を触ると全て台無しになります。