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第148回 膝に水が溜まるとは?
整形外科部長 村上 幸治
専門分野 膝関節外科、人工関節外科
●膝に水が溜まるとは?
膝の中には少量の関節液という液体が存在します。正常の関節液は粘り気があり、軟骨へ栄養を運んだり、潤滑油やクッションの役割もあります。
膝の軟骨の摩耗によって生じる「変形性膝関節症」により、膝に炎症がおこると関節液は増加し「膝に水が溜まる」状態になります。関節液は増加することによって粘り気がなくなり、正常な機能を果たせなくなります。また、炎症の痛みに加えて関節の袋が引き伸ばされ「重だるさ」を感じます。
●膝の水を抜くとクセになる?
膝の「水」が長期間、溜まっていると関節に悪影響をおよぼすことがあります。そのため長期に多くの「水」が溜まると考えられる場合は水を抜くことがあります。「水」を抜くことは症状軽減のためだけではなく、炎症の原因の手がかりを知るためでもあります。膝に炎症がおこっている間は「水」も溜まり続けますが、「水」を抜くと同時に炎症を抑える治療を行うことで「水」は減っていきます。したがって、膝の「水」を抜くとクセになるということはありません。
膝に「水」が溜まったら早めに整形外科を受診しましょう。