本文
研究推進(大井小学校)
1 研究主題
低学年
生き生きと表現し、主体的に学習する子どもを育成する生活科の創造
~気づき・伝え・生かす~
中学年・高学年
生き生きと表現し、主体的に学習する子どもを育成する社会科の創造
~問いを持ち・追究し・学び合う~
2 主題設定の理由
平成29年度から今年度までの3年間は京都府小学校教育研究会の生活科の研究協力校としての指定を受け、低学年は生活科を、そして中学年、高学年は社会科の研究を進めることにした。
この大井町は地域に教材となる人や物、そして土地(場所)が多くある。そこで、このことを生かして学びを深められるのではないかと考え、生活科から社会科につなげて研究を進めることとした。
また本校の状況の中に、これまでの研究の中だけでなく、様々な学習や学校生活の中において、本校の児童に必要なものは「表現力」であるという声が何度も挙がっていた。昨年度の総括においても「表現力をつける」という課題を残している。生活科の研究と本校が課題とする表現力を鍛えることを考えた時、今年度は自分の感じたことや思ったことを表出できるということに重きを置き、研究を進めることにした。
京都府小学校教育研究会の生活科の研究主題「生き生きと表現し、主体的に学習する子どもを育成する生活科の創造~気づき・伝え・生かす~」は、本校の課題「表現力」とも結びつくものである。経験や体験を通して気づく。学んだことを仲間に伝え合いながら、さらに気づく。そして、自分の生活の中にも生かしてまた気づく。活動を通した気づきは自分の表現方法で表出する力につながる。一人一人への丁寧な見取りを進め、進んで学習する子どもの育成を図りたい。
なお、中学年、高学年の研究教科は社会科である。系統性を持って研究が進めていけるように、研究主題を同じにし、サブタイトルを~問いを持ち・追究し・学び合う~とした。自分や仲間や対象と対話することを大切にしながら、様々な学びから「問い」を持ち、さらに対話を重ねて学び合うことで、より深い学びを構築していく。このように主体的に自分が持った学習課題に対して追究していく姿勢を大切にして、学びを深めることを目指していきたい。
そして、この子どもの育成に向けてポイントとすることがある。思いを表現すると言っても、自分の思いを持つことができなければ、それは難しいと考える。そのためにも、まずは子ども達が「話したい」「伝えたい」「みんなと考えたい」と思えるような、場の設定が必要である。最初の教材との出会いの場を教師が丁寧に設定し、さらに子ども自身が設定した課題を、継続して楽しく追究できるような工夫が不可欠である。自分の思いを、相手に伝えられるようなスキルを様々な場で育てると共に、良い聞き手を育てることにも力を注ぎ、より深い学びにつながるようにしていきたい。
3 主題に迫るための5つの工夫
- (1)単元導入(出会い)の工夫。
- (2)楽しく追究し続けられる学習課題設定の工夫。
- (3)授業構成の工夫。(授業作り)
- (4)話し合い活動や考えの交流をする機会の工夫。
- (5)聴き方・話し方のスキル習得の工夫。
気づきや学びを伝え合う。
(1)単元導入(出会い)の工夫
- 単元の導入は、学習に向かう入り口であることを大切にする。
- 導入に活かすものを児童の実態に合わせて準備する。
- 経験や体験。生活と結びついたものになりやすい。(本物に近い方が良い)
- タイムリーな写真や資料。
- 知っていることを出し合う。
- 教材研究を深める。↠フィールドワークや人との出会いなど足で稼ぐ。特に夏休みは狙い目。
(2)楽しく追求し続けられる学習課題設定の工夫
- 考えや思いを出し合うことが大切。子どもの持っている多様性を大切にする。いろいろ探したり、言い合ったりすることが生き生きした学びの姿勢につながる。
- 出し合うことで仲間分けができたり、学習のねらいに迫る課題の軽重が見えてきたりする。
- しかし、知識や目の付け所といったものには個人差があるため、少人数グループなどで話すことによって知識や考えを共有することができる。
- 疑問については調べることが大切。ただ調べ方は多種多様。インターネット、図鑑や辞典、また、自分の周りにいる身近な人(家族、先生)から話を聞くという行為も大切である。難しい知識でなくても、自分の知識が今より増えることを大切にさせたい。
- 教師主導で問いを出すことは、出し方について考えていく。
(3)授業構成(授業作り)の工夫
キーワード
- 視覚化↠写真やICTの活用、1時間の学習がわかる板書の工夫
- リアルな活動、体験的活動を仕組む
- 個、グループ、一斉とそれぞれの学習形態の良さを活かす
- 身近なところから
- 形式を統一したワークシート↠ナンバリングで見やすく
(4)話し合い活動や考えの交流をする機会の工夫
- 話すことと書くことを1時間の中でどう整理するか。(1)書いてから話すと書いてあることを読み合って発表して終わりになる。それ以上に話し合いが進まない。深まらない。(2)話してから書くと何を話したのか覚えていなくて、整理して書けない。
- 思いの持てる授業構築とあふれ出る思いをいかに書かせるかをポイントに授業を考える。→思いを整理してノートに書くこと(1)めあて (2)予想(必要に応じて) (3)振り返りの充実(本時の学習や学習のまとめ→学習の対する感想や思い→次に学びたい課題)を図る。
- 学習の展開時はノートにメモを取りながら。
(5)聴き方・話し方のスキル習得の工夫
- 「学びが高まる学習集団=居心地のいいクラス集団」は何を話しても受け止めてもらうことができる。話す声が小さいことが課題として挙がっているが、その解決方法の1つが一人一人に居場所がある学級集団である。
- 根拠や理由をつけて話させる。(単語から文へ、そして文章へ。)これは学び方を学ぶことにもつながる。
- スピーチ、少人数グループなど、話す機会を増やす。
- 聴き方、話し方のスキルの習得。
4 研究体制
5 具体的取組
(1)研究推進委員
ア 授業
- 月1回、研究に関わることについての協議をする。
- 「きく力・伝える力」を身に付けるための指導方法や提案を行う。また、それが身についたか評価する際、教師の感覚的な判断ではなく具体的な児童の姿で評価できるような方法を探る。
- 授業研などで提示されてきた指導方法など、大井小として統一させたい事項をまとめる。
イ 広報
- 保護者向け研究だより「お~いにまなび」を発行(2、3学期)し、学校での研究についての取組を紹介し発信する。
- 校内向け研究便り「大井ベーシック」を発行(随時)し、教職員間でも本校で大切にしたいことを共有する。
ウ 環境
- 主に児童に向けた掲示物や配布物を作成する。
- 教室掲示や校内掲示などについて話し合い、統一したものを作成したり補修したりする。
(2)研究授業
ア 全体研究授業(全体研)
- 全学年で、1回以上行う。
- 全教員が授業を参観し、事後研究会にも全員参加して研究課題の達成に迫る。
- 大井学級についても、学年始めに、可能な範囲で研究主題に迫る授業を行う。
イ 京都府小学校教育研究会「生活科」研究大会
- 授業(1)は、1・3・5年が公開
- 授業(2)は、2・4・6年が公開・生活科の共同研究グループ グループ(1・4・6年)グループ(2・3・5年)
ウ 一人一授業(3学期の全体授業研とブロック研)
- 上記以外の学級でも、細案を作成し公開授業をする。
- ブロック授業については週予定表で広報し、自由参観とする。
エ 特別活動など
- 委員会活動・学級会活動・フレンドリー班活動などの特別活動の中においても、表現力やコミュケーション能力を育てる。