キーワードは保津川!! 3つの新・市指定文化財のひみつ 文化財と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?仏像や巻物などをイメージする人も多いのではないでしょうか。 4月26日に、新しく亀岡市の指定文化財として金刀比羅神社の奉納船、桑田神社の石灯籠、保津川船下りの操船技術が指定されました。保津川の水運が結ぶ、3つの文化財の物語に迫ります。 山のてっぺんに船があるひみつ 金刀比羅神社奉納船 牛松山ハイキングコースを登ると、頂上に金刀比羅神社が見えてきます。その本殿横に、指定文化財となった2隻の模造船があります。 古くより、同神社は、水上安全の守り神を祀ることから、保津川下りの船頭たちの信仰を集めてきました。この模造船は、川への感謝と航行の無事を願い、昭和40年と45年に保津川遊船企業組合より奉納されたものです。 今でも、毎年1月10日の金毘羅さんの日には遊船関係者の皆さんが登山し、安全を祈願しています。 石の灯籠と保津川のひみつの関係 舟筏無難銘石灯籠 灯籠の左面に刻まれた「舟筏無難」の文字。これは、水難除けを意味しています。 灯籠が建てられた桑田神社のある、篠町山本は保津峡谷の入り口に位置し、水運を支えてきました。灯籠は1820年(文政3年)頃、当時、集落に住んでいた筏問屋や筏師、船頭により、航行の無事を祈願して建てられたと伝わります。 現在、彼らの仕事場があった山本浜はラフティングを楽しむ人たちでにぎわい、新たなかたちで保津川と人々を結びつけています 船頭さんの技のひみつ 保津川船下り操船技術   かつて丹波の産物を都に運ぶ役割を果たし、現代では遊船として多くの観光客を楽しませている保津川下り。嵯峨嵐山までの急流を進むには、棹・櫂・舵を操り、日々変わる風向きや水量を読み解く知識と経験が必要。船頭歴19年になる豊田覚司さんは「船頭はみな、『一人前の船頭』という表現は使いません。いくつになっても、日々、真剣に技術を磨き続け、安全な運航に努めています」と話されます。 そして現在、400年にわたり受け継がれてきた操船技術の習得に励むのが、今年20歳の最年少船頭・畑中彰仁さんです。船頭歴2年になる畑中さんは「高校時代、京都市内への通学途中に鉄橋から見た船下りの船頭に憧れ、この世界に飛び込みました。先輩から知識・技術をどんどん学んでいきたいです」と抱負を語られます。