○亀岡市人権尊重推進条例

令和6年3月28日

条例第6号

人権とは、全ての人が有している人間らしく生きる権利であり、将来にわたって守られるべき権利です。一人一人の不断の努力によって、かけがえのないこの権利を守っていくことが大切です。

本市では、人権尊重・平和を市政の最重要課題と位置付け、世界恒久平和の実現に向けて1955年に亀岡市「世界連邦平和都市」宣言(現亀岡市「世界連邦・非核平和都市」宣言)を宣言するとともに、同和問題(部落差別)の解決を目指し、市全体で取組を進め、その取組の中で積み上げた成果や手法を活かし、あらゆる人権問題を解決するため、亀岡市「生涯学習都市」宣言に掲げる人間の尊重及び亀岡市民憲章に謳う平和と人権の根づくまちに基づく人権尊重のまちづくりを推進してきました。

その取組の成果として、亀岡市男女共同参画条例(平成14年亀岡市条例第29号)、亀岡市犯罪被害者等支援条例(平成24年亀岡市条例第3号)、亀岡市手話言語及び障害者コミュニケーション条例(平成30年亀岡市条例第16号)、亀岡市子どもの権利条例(平成30年亀岡市条例第50号)を制定したほか、亀岡市パートナーシップ宣誓制度の創設等を通じて、女性、犯罪被害者、障害者、子ども、高齢者等や、性的指向及び性自認等にかかわらず、全ての人の人権が尊重される社会の実現のため、市民とともに努力を重ねてきました。

国においては、2016年以降、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年法律第68号)、部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律第109号)、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(平成31年法律第16号)及び性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)が施行されるなど、差別解消に向けた取組が進められています。

しかしながら、今もなお、社会的身分や出身、性別、年齢、障害や疾病の有無、民族、人種、国籍、性的指向、性自認等を理由とした人権侵害が存在しています。また、インターネットの普及等による情報化社会の進展や、経済的格差の拡大等社会情勢の変化に伴い、複雑で多様な人権問題の解決が課題となっています。

全ての人の人権が尊重される社会を実現するためには、こうした複雑で多様な人権問題の解決に向け、市民一人一人が、人権問題に対して正しい理解と認識を深め、不当な差別を許さない、不当な差別をしない、そして、あらゆる人権問題を解決するという意識を持ち、子どもの権利を大切にし、子どもの最善の利益を実現することや、障害者等に対する必要かつ合理的な配慮を行うなど、積極的に行動していかなければなりません。

このような共通認識の下、私たちは、一人一人が互いの人権を尊重し、互いに認め合い、全ての人の人権が尊重されるまちづくりを推進していく決意をここに表明し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、本市における人権尊重のまちづくりに関して、基本理念を定め、市の責務並びに市民等及び企業等の役割を明らかにするとともに、人権に関する施策(以下「人権施策」という。)の推進について必要な基本的事項を定めることにより、市民等及び企業等の人権尊重の意識の高揚を図り、全ての人の人権が尊重される社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民等 市内に居住し、通勤し、通学し、又は滞在する者をいう。

(2) 企業等 市内で事業を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 人権尊重のまちづくりは、全ての人が基本的人権を有しており、一人一人の人権が相互に尊重されるものであるという認識の下、誰一人置き去りにされることなく、互いに認め合い、全ての人の人権が尊重される社会を実現することを基本として行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、必要な人権施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。

(市民等の役割)

第5条 市民等は、基本理念にのっとり、互いに認め合い、人権を尊重し、人権尊重のまちづくりの担い手として、学校、家庭、職場、地域その他のあらゆる場において、人権意識の高揚に努めるとともに、人権が尊重される社会の実現に資するよう努めるものとする。

(企業等の役割)

第6条 企業等は、基本理念にのっとり、事業活動に関わる者の人権意識の高揚を図るとともに、あらゆる人権問題の解決に向けた取組を主体的に推進し、人権が尊重される社会の実現に資するよう努めなければならない。

(基本計画の策定)

第7条 市は、人権尊重のまちづくりの推進に必要な人権施策を効果的に推進するため、人権施策に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 人権教育及び人権啓発の推進に関する事項

(2) 人権問題に関する相談及び支援体制の推進に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、人権尊重のまちづくりの推進のために必要な事項

3 市長は、基本計画の策定及び進捗管理等に当たっては、第10条第1項に規定する亀岡市人権尊重推進審議会の意見を聴かなければならない。

4 市は、基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

6 市は、基本計画に基づいて必要な人権施策を推進するとともに、国、府その他関係機関との連携を強化するなど、推進体制の充実に努めるものとする。

(人権教育及び人権啓発の推進)

第8条 市は、人権尊重のまちづくりに関する市民等及び企業等の理解を深めるため、あらゆる機会を通じて人権教育及び人権啓発の推進に努めなければならない。

(相談・支援体制の推進)

第9条 市は、あらゆる人権問題に関する相談に応じるとともに、必要な支援を行うため、相談及び支援体制の推進に努めなければならない。

(亀岡市人権尊重推進審議会の設置)

第10条 市長の諮問に応じ、本市における人権尊重のまちづくりの推進に関し必要な事項を調査審議するため、亀岡市人権尊重推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を調査審議し、市長に意見を述べることができる。

(1) 第7条に規定する基本計画の策定及び進捗管理等に関すること。

(2) その他、人権尊重のまちづくりに必要な施策に関すること。

(組織等)

第11条 審議会は、委員10人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 関係団体の役員又は構成員

(3) 公募の市民

(4) その他市長が適当と認める者

3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 前各項に規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。

(亀岡市人権条例(仮称)制定審議会条例の廃止)

2 亀岡市人権条例(仮称)制定審議会条例(令和5年亀岡市条例第14号)は、廃止する。

亀岡市人権尊重推進条例

令和6年3月28日 条例第6号

(令和6年4月1日施行)