○亀岡市子どもの権利条例

平成30年12月15日

条例第50号

私たちのふるさと亀岡市は、緑豊かな山々からの清流が豊かな田園地帯を潤し、亀岡盆地の中央を流れる保津川に注ぎ込み、自然や心豊かな人、まちを形成している。このまちで学び、育つ子どもたちは、ふるさとの宝であり、まちの未来を担うかけがえのない存在である。

すべての人は、生まれながらに一人の人間として尊重され、人間らしく生きる権利を有しており、子どもも大人と等しく、この基本的人権を有している。

成長過程にある子どもが健やかに育つためには、様々な助けを受けることが必要である。生まれてから大人になるまでの少しの間、人は子どもとして、基本的人権のほか子どもにとって大切な特別の権利が保障されている。

子どもは、自分自身にどのような権利があるのかを理解し、社会全体で支えられながらそれを行使していくことで、すべての人が自分と同じように権利を有することや、自分自身も社会の一員として他人の権利を大切にしなければならないことを学び大人へと成長していく。子どもの権利が守られる社会を実現することは、すべての人が互いに尊重される社会を実現することにつながる。

よってここに子どもの権利を大切にする考え方が亀岡市のまちづくりに息づくことで、すべての市民が支えあいながら心豊かに暮らせる地域社会が実現することを願って、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの権利が保障されるよう、市等の責務を明らかにし、市の施策について基本的な事項を定めることにより、子どもが安心して学び育つことができる地域社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 子ども 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に規定する子どもその他これらの者と等しく権利を認めることが適当である者をいう。

(2) 保護者 子ども・子育て支援法に規定する保護者をいう。

(3) 子どもに関する施設 市内に所在する児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校(学校教育法第1条に規定する大学を除く。)、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)に規定する認定こども園及び社会教育法(昭和24年法律第207号)に規定する社会教育に関する施設その他の子ども・子育て支援に関する施設をいう。

(4) 地域住民 市内に居住し、通勤し、若しくは通学する者(第1号に規定する子どもを除く。)若しくは市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体をいう。

(5) 子どもの権利 児童の権利に関する条約及びこの条例に規定する権利をいう。

(6) 事業者 市内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 子どもの権利の保障は、次の各号に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 子どもは権利の主体であり、その年齢及び発達に応じて自らその権利を行使できること。

(2) 子どもは、子どもであることをもって不当な取扱いを受けないこと。

(3) 子どもは、個人としての尊厳が重んじられ、健やかに成長するための環境が確保されること。

(4) 子どもは、自身にとって最善の利益が考慮され、社会全体で育まれること。

(5) 社会における制度又は慣行において、子どもの権利が尊重されること。

(6) 子どもの権利の保障は社会全体の責務であり、実効性ある具体的な取組によって推進されること。

(子どもの権利)

第4条 子どもは、児童の権利に関する条約に規定される権利のほか、次の各号に掲げる権利を保障される。

(1) 自らの権利を理解し、適切に行使するために必要な教育を、その年齢及び発達に応じて受けること。

(2) 自らの権利を守るために必要な相談の機会及び支援を求めること。

(3) 自らの権利が侵害されたとき又は侵害されるおそれがあるときは、自ら救済を求めること。

(4) 自らに関わる重要な事柄について他人が決めようとするときは、説明を求め、又は意見を述べること。

(市等の責務)

第5条 市並びに保護者並びに子どもに関する施設の設置者、管理者及び職員並びに地域住民並びに事業者は、互いに連携を図り、協力して子どもの権利を保障するものとする。

2 市は、第3条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、あらゆる施策を通じて子どもの権利の保障に努めなければならない。

3 市は、子どもの権利が侵害されたときは、子どもが速やかに救済を受けられるよう、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

4 市は、子どもの権利が広く保障されるよう、国、他の地方公共団体及び公共的団体との連携に努めなければならない。

5 市は、子どもの権利の普及及び啓発を行うものとする。

6 保護者は、基本理念にのっとり、子どもの最善の利益が実現されるよう子どもを監護し、必要な協力及び支援を市等に求め、子どもの権利の保障に努めなければならない。

7 子どもに関する施設の設置者、管理者及び職員は、基本理念にのっとり、子どもに関する施設において、子どもが自らの権利を理解し、子どもの年齢及び発達に応じた権利行使ができるよう支援することを通じて、子どもの権利の保障に努めなければならない。

8 地域住民は、基本理念にのっとり、子どもが健やかに育つことのできる安全で安心な地域づくりを推進し、子どもが地域社会の一員として、地域の活動に参加できる機会づくりを通じて、子どもの権利の保障に努めなければならない。

9 事業者は、基本理念にのっとり、雇用する労働者が子育て及び仕事を両立できるよう必要な職場環境を整備することを通じて、子どもの権利の保障に努めなければならない。

(子どもの権利の日)

第6条 市は、子どもの権利についての関心及び理解を深めるため、亀岡市子どもの権利の日を設ける。

2 亀岡市子どもの権利の日は、11月20日とする。

(基本計画)

第7条 市は、子どもに関する施策の推進に際し子どもの権利の保障を総合的かつ計画的に図るための基本計画を策定し、定期的に検証し、及び必要に応じて改定するものとする。

2 市は、基本計画を策定し、又は改定するに当たっては、子ども及び地域住民等の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるものとする。

3 市は、基本計画の推進状況を毎年、議会へ報告するものとする。

4 議会は、基本計画の推進状況を監視及び評価するとともに、必要に応じて提言等を行うものとする。

(推進体制)

第8条 市は、子どもの権利を保障する観点から子どもに関する施策を総合的に企画し、調整し、及び実施するために必要な体制の整備に努めるものとする。

(財政上の措置)

第9条 市は、子どもの権利の保障が推進されるよう、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(条例の見直し)

第10条 議会及び市は、子どもの権利の保障が総合的かつ計画的に推進されているかどうかを検証し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

亀岡市子どもの権利条例

平成30年12月15日 条例第50号

(平成31年4月1日施行)