○亀岡市手話言語及び障害者コミュニケーション条例

平成30年3月27日

条例第16号

亀岡市は、昭和57年に「健康で文化的な生活の基礎的条件が確保されることにより、生涯にわたり人間に値する生活と人格の自由な発展がひとしく保障される社会こそ、福祉社会といえる。」として、「福祉都市」を宣言し、障害福祉に係る施策を計画的に推進しています。

社会は、人と人が関わり合い、お互いの思いを伝え合うことによって成り立っています。助け合い、敬い合うためにはコミュニケーションが必要です。

ろう者のコミュニケーションの手段である手話は、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語(手話言語という。以下同じ。)であり、音声言語である日本語と同等の言語です。ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話言語を大切に育んできました。

しかしながら、今まで手話言語は言語と認められていなかったため、手話言語を学び、手話言語で学ぶ環境が整備されてこなかったこと、また、社会においても、手話言語への理解は乏しく、手話言語を使用する環境が十分には整えられてきませんでした。

また、ろう者だけでなく、多くの障害者が、生活に必要不可欠な情報取得及びコミュニケーションに著しい困難を抱えています。

こうした状況に鑑み、手話言語を言語として認識するとともに、あらゆる障害者が必要とするコミュニケーション手段の普及を促進することにより、すべての市民が互いに人格と個性を尊重し、支え合いながら自分らしく豊かに暮らすことができる地域社会を構築するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及並びに多様なコミュニケーション手段(手話言語、触手話言語、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な表現、代筆及び代読、その他日常生活又は社会参加を行う場合に必要とされる補助的及び代替的な手段としての情報及びコミュニケーション支援用具等をいう。以下同じ。)の利用の促進に関し基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにし、手話言語及び多様なコミュニケーション手段に関する施策を推進することにより、障害者と障害者以外の者が互いに人格と個性を尊重し、支え合いながら生きる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及は、手話言語が独自の言語であることを基本に行われなければならない。

2 多様なコミュニケーション手段の利用の促進は、障害者と障害者以外の者が相互の違いを理解し、互いに人格と個性を尊重することを基本に行われなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、基本理念に基づき、手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及並びに多様なコミュニケーション手段の利用の促進のため、必要な施策を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念に基づき、手話言語に対する理解を深めるとともに、多様なコミュニケーション手段の利用の促進のための市の施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念に基づき、手話言語に対する理解を深めるとともに、多様なコミュニケーション手段の利用の促進のため、多様なコミュニケーション手段を必要とする者に利用しやすいサービスを提供するよう努めるとともに、市の施策に協力するよう努めるものとする。

(観光旅行者その他の滞在者への対応)

第6条 市、市民及び事業者は、多様なコミュニケーション手段を必要とする観光旅行者その他の滞在者が、安心して滞在することができるよう、多様なコミュニケーション手段への理解のある対応をし、又は利用しやすいサービスを提供するよう努めるものとする。

(施策の推進及び検証)

第7条 市は、第3条に規定する市の責務を果たすため、次の各号に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及に関すること。

(2) 多様なコミュニケーション手段を習得する機会の創出に関すること。

(3) 多様なコミュニケーション手段の利用を促進する意思疎通支援者その他の支援者の確保及び養成支援に関すること。

(4) その他手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及並びに多様なコミュニケーション手段の利用の促進に関すること。

2 市は、前項の施策の推進を図るため、亀岡市障害者基本計画(障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項の規定に基づき策定された計画をいう。)に位置づけ、検証を含め総合的かつ計画的に推進するものとする。

(財政措置)

第8条 市は、手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及並びに多様なコミュニケーション手段の利用を促進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

亀岡市手話言語及び障害者コミュニケーション条例

平成30年3月27日 条例第16号

(平成30年4月1日施行)