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やさしい健康講座


第62回 急な腹痛、下血で発症する虚血性腸炎という病気
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亀岡市立病院

病院長  上田 和茂

専門分野: 肝臓病学、消化器病学、腹部IVR

 虚血性(きょけつせい)腸炎とは大腸に栄養を送る血管の流れが悪くなり、腸管が血液の足りない状態(虚(きょ)血(けつ)と言います)となって大腸の粘膜に炎症や潰瘍を生じる病気です。もともと血管に動脈硬化などがあって、血液の流れが十分でないところに便秘などが誘因となって発症すると言われています。
 高齢者や、糖尿病、膠(こう)原病(げんびょう)、血管炎などの基礎疾患のある人に多い病気ですが、便秘のひどい若い女性にもときに見られます。
 この病気は通常、突然の激しい腹痛、下血、下痢で発症します。典型的には左下腹部の腹痛で、新鮮血の下血が見られます。症状が出る直前に便秘をしていたことが多いとされています。
 治療は、安静、絶食、点滴による水分、栄養分の補給を行います。病気の重症度としては、軽いものから一過性型、狭窄(きょうさく)型、壊死(えし)型に分類されます。約半分は一過性型で短期間のうちに軽快し、後遺症も残りません。最も重い壊死型は比較的まれとされていますが、激しい腹痛から敗血症を合併して死に至る場合もあり、壊死した大腸の切除手術が必要になります。
 急な腹痛に続いて、新鮮血を下血した場合は虚血性腸炎の可能性がありますので、医療機関を受診し適切な治療を受けてください。

 


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