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学校だより 令和6年5月号
桜花満開の中、入学式と1学期の始業式を行うことができました。4月8日(月曜日)の一学期始業式では、生徒入場の際に、Radwimpsさんの「正解」という歌の動画を2・3年生に見てもらい、以下のような話をしました。また、1年生にも同じ内容の話を入学式の式辞で話しました。
皆さんが入場してきた時に流れていた曲は、Radwimpsさんの「正解」という歌です。今年一年間の学校としての目標について、ある先生と話していた時に教えていただいた曲です。歌詞を読みながら、とても考えさせられて、是非皆さんと共に考えたいと思い、年度初めの忙しい時に、我が儘を言って準備をしていただきました。 この後の話の中で触れたいと思います。
さて、とうとう春休みが終わり、新学期が始まりますね。皆さんにとって、今日家を出発する時の気持ちや今の気持ちは、どんな感じでしたか。通常の一日の気分とは、かなり違ったものだったのではないでしょうか。緊張や不安、頑張ろうと思う希望に満ちた気分、さまざまではないでしょうか。是非、緊張や不安がある中でも、頑張ろうと思った新鮮な気持ちを大切に、この一年間頑張って欲しいと思います。
昨年度の3学期終業式に話した「シンギュラリティ」という言葉を覚えていますか。「シンギュラリティ」とは、「人間の脳と同じレベルのAI(人工知能)が誕生する時点」で、11年後の2045年に到来すると予想している発明家もいます。生成AIが、質問に完璧に答えてくれる時代が目の前に来ているということです。
そこで、いつもながらの問題です。
「二人の社長が、質問に完璧に答えてくれる人工知能を手に入れました。うまく使えば、会社をさらに大きくすることができます。ところが、一人は成功し、一人は失敗してしまいました。では、二人の社長の差は何だと思いますか。」
答えは、「問う力」です。 「AIにどのような問いかけをするか。」「どんな情報をAIから引き出そうとするか。」で、返ってくる結果は違ってきます。そして、返ってきた結果に対して、さらにどのような質問をするかで、両者に大きな差ができます。つまり、これからの時代は、「質問をする力」「問いを立てる能力」が必要とされているのです。 「問う力」が大切なのは、AIに対してだけではありません。
たとえば、「目玉焼きには、醤油を掛けますか。それとも、ソースですか。」「朝ご飯は、パンですか。ご飯ですか。」「好きな映画は。好きな本は。」このように、二人称つまり「あなたは」を主語にする質問は、互いのコミュニケーションがとれて、人間関係が深まります。
そして、三人称つまり、自分とあなた以外の人への問い掛けはどうでしょうか。「みんな、どんなクラスにしたい。」「文化祭では、どんな劇がよい。」部活であれば「どんな作戦で、今日の試合に臨もうか。」など、チームやクラス、集団の団結が強まり、集団が大きく動くと思います。是非、いろんな質問をしながら、友だちの輪を広げ、クラスやいろいろな集団の結束力を高め、充実した一年にして欲しいと思います。
そして、最後に 一人称に対する質問、自分に対する質問はどうでしょうか。皆さんが入場してきた時に流した曲「正解」の歌詞には、
「僕たちが知りたかったこと」として
「一番大切な君と 仲直りの仕方」 「大好きなあの子の 心の振り向かせ方」
「悔しさで滲んだ(にじんだ)心の傷の治し方」 「傷ついた友の励まし方」という歌詞がありました。
「自分は何ができるのだろう。どうしたらよいのだろう。」「自分にとって、大切なことは。」
「大切な人は。」「好きなことは。」「目指す将来は。」
「どんな人生にしたいのか」是非、自分への問い掛けもたくさんして、自分だけの正解を探しながら、自分の目指す先や夢を見つけて欲しいと思います。
校長先生も、「どうして教師になったのだろうか。」「校長先生として、どうあるべきなのか。」「どんな学校になることが、みんなの幸せになるのだろうか。」と、自分に問いながら、頑張ろうと思います。
今年一年、「なぜ。」「どうして。」「どうしたら、よいのか。」など、詳徳中学校の先生方と生徒の皆さんとで協力し、「問う力」を育ててください。たくさんの友人を作り、集団の力を育て、自分の進みたい人生の方向を決めることのできる一年にして欲しいと思います。 そして、みんなで過ごしやすい詳徳中学校を作り上げていきましょう。
「よーい、はじめ。」 です。
以上の話をしながら、今年一年「問う力」をテーマに詳徳中学校の教育活動を教職員一同で進めていく所存です。保護者の皆様、地域の皆様、心が大きく揺れる思春期の生徒たちに、これまで同様、各方面からのご支援をよろしくお願い申し上げます。
校長 川口 研一